『進化しているアメリカのスピリチュアリズム』

今回のNYの滞在中、いくつかのスピリチュアルなワークショップやクラスに参加することができました。アメリカでは80年代から90年代にはニューエイジ・ブームで、エネルギーやオーラ、占星術、予言者といった傾向のものが、スピリチュアリズムのイメージでした。しかし、最近は、禅、タオ、ヨガ哲学、カバラ、クリスチャニティなど伝統的なものが、脳科学、生理学、医学、哲学、心理学、そして環境問題、宗教問題、エクササイズ、芸術、高齢化問題などと融合して、新たなものに変化してきていると思います。ある意味では、子供っぽかったとも思えるものが、大人のスピリチュアリズムに成長して来ていると考えられます。

そういう観点から、今回、僕がNYで触れたイベントの幾つかを紹介します。

■オープンセンターで行われたイベント「知恵の遺産」

本当の知恵とは何か、さまざまなフィールドの専門家が丸一日かけて話しあいました。パネリストは仏教徒のハリファックス女史、人類学者のベイツソン女史、ユダヤ教からは、シャクター・シャロミ氏、それにジェーン・フォンダなど。チケットはすぐに売り切れたそうです。

72歳のジェーン・フォンダは整形はしているものの、かつての美しさを保っています。映画スターから反戦運動、エクササイズグルー、お金や名声のことなどもオープンに話していました。ラム・ダスは、スピリチュアリズムではアイコンのような人。知恵というのは毎日養っていくもので、しかも自分のなかに既にあるものを再発見していくということ、と話していました。

ラム・ダスはビデオで参加。アメリカの現代知恵のアイコンの一人。

■アディヤシャンティの法話

僕が注目するアメリカの禅僧の1人です。「悟りのプロセス」というかなり難しい内容の法話だったけれど、20代から70代くらいまでの幅広い年齢層の聴衆が集まっていました。伝統的な法話の方式で、まったくスクリプトなしでただ淡々と話します。実に誠実な感じでした。

どこの宗派にも属さない禅のアディアシャンティ

■ダンスやアートと融合したもの

以前紹介したコンティ二ウム・ムーブメントや、ファイブリズム・ダンスやエコ・ムーブメント・アートなど。どれもあまり形にこだわらない動きのなかに、自己発見をしていくメソッド。ファイブリズム・ダンスは、ジョフェリーバレー団の練習所で定期的に行われており、音楽に合わせて皆が自由に動く、健康的なレイブ・パーティのよう。会場にいたのは実にさまざまな人たち。1/3は男性で、20代から80代くらいまでがミックスしていました。こういうのが日本にも欲しいなあ。

■トラウマ療法「ソマティック・エクスペリエンス」

ピーター・リヴァイン博士がまとめた身体心理療法で、トラウマは身体にあるという理論に基づいています。太極拳や気功、呼吸法などの僕の教え方が、このメソッドととてもよく似ているという意見を何度も聞いたので、興味を持ったのです。この5月にはこの療法のインストラクターと共に、ウイーンでワークショップをすることになっています。

■講義「瞑想と脳」

ニューヨーク大学の心理学研究所のゾラン氏によるもので、瞑想が脳にどのような影響を起こすかについての長年のリサーチを、1日かけて報告。深い瞑想がどのように脳の活性化に役に立つかを科学的に説明していました。このリサーチの研究材料の一人に僕がなっています。

アメリカのスピリチュアリズムは、確実に進化しています。

ビジネスのリーダーシップのワークショップでも、瞑想を積極的に取り入れています。このジャンルでは人気の高いトニー・ロビンスも、ここ数年は、成功するために瞑想が欠かせないといっています。多様なフィールドの人たちが自由に瞑想やスピリチャリズムについて試行錯誤しているのが、実にアメリカ的。今後が楽しみです。

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