駱駝は、素敵だ。

数日歩いていると砂漠とひとことに言っても、いろいろ変化があることが分かってくる。

見渡す限りの砂丘のところもあれば、乾いた草のような木のようなものがあちこちにある砂の荒野みたいなところ、嘗ては塩の湖だった表面がかさかさに堅くなっているところもある。僕たちは見なかったけれど、岩がごつごつしているところもある。

チュニジアの南は典型的な砂漠のイメージにちかく、砂も細かいので様々な映画や写真にも使われている。

スターワーズ、インディアナ・ジョーンズ、イングリッシュ・ペイシェントなども、この辺りで撮影されたらしい。

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駱駝に食物、水、テントなどの全ての荷物を積むので、僕たちはなにも持たずに歩くことが出来る。

北アフリカにいるのは、背中のこぶが1つのいわゆるひとこぶ駱駝だ。

 

僕とダリ。
僕とダリ。

4匹の駱駝には、特別名前がないというので、僕がすぐに名前をつけた。

おそらく一番年齢が高くてなんとなく智慧がありそうな濃い色には、アルバート・アインシュタイン

同じく濃い色でなんとなくラスタな感じがするのには、ボブ・マーレー

駱駝のレースで優勝したことがあるという白いのには、アベベ・ビキラ

そしてヒゲあって、ちょっと風変わりなのにはサルバトーレ・ダリ

科学者、美術家、音楽家、アスリートとなかなか良いコンビネーションだと思った。

 

ところが最初の印象と、本当の性格というのはなかな異なるものだ。

アインシュタインが一番不可解な行動が多かった。時々ごろっとひっくり返そうとする。積んでる水がこぼれてしまったら大変なことになる。

ダリは結構穏やかでリーダー格でいつも一番先に歩いて、僕らを乗せてくれるのも彼。

アベベは、あんまり動きたくなさそうで決して軽やかな身のこなしという感じではなかった。

ボブ・マーレーは、なんか一番暢気な感じでいつも静かに最後をのんびりと歩く。といっても、こいつが一番蹴りがあるときがあるので決して後ろには近づくなと注意をされた。

 

駱駝は、あんまり音もたてずに、静かだ。

この暑くて厳しい環境で、殆ど水も飲まずにいられるのだから凄い。

一週間くらいは水を飲まなくても生きていけるとアリは言う。そうすると段々背中のこぶが小さくなって行くらしい。

 

働く駱駝は全てオスだけ。雌は殆どが野生で自由に子供を育てるらしい。

野生の雌の駱駝を時々遠くにみることがあった。

 

駱駝が近くにいてくれるだけで、安心させてくれる何かがある。

けっして気軽に撫でたり、寄ってくるわけでもないけれど、不思議な安定感がある。

ちょっとトボケた顔と、膝が2つもある奇妙な後足。

疲れた時には、時々駱駝に乗る。

僕は、駱駝に乗るのが大好きになった。

歩くのが辛くって楽チンだからではなく、なにか分からないけれど、気分が高尚な感じになる。

なにか問題なく偉くなった感じというか、そして夢心地な気分。

身体にくる刺激も、ウマや象よりも僕にはすっきりきた。

僕はすっかり駱駝のファンになってしまった。

 

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365度見渡す限り地平線なのに、一週間の間に人は1人も見なかった。

僕は、時々キャラバンみたいなものを砂丘の向うに見るのかなあと勝手に夢みていたのに

本当に人間は1人も見なかった。

鳥も殆ど見ない。

見た生き物をいえば、蟻と、夕方に蠅がでてくるのと。それからサソリくらいだ。

 

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