呼吸と瞑想 (その1)

呼吸と瞑想。

瞑想にだけではなく、何事も呼吸が大切だということは、大抵の日本人ならば理解していると思います。

では、呼吸とは何か?なぜ呼吸が大切なのか?そして、どういう呼吸がいいのか?ということになります。呼吸だけでも、六週間のワークショップをしても終わらないような内容です。ここでは、なぜ、呼吸が大切かということを簡単に。

呼吸は生命を維持するために、根本的な活動で、しかも意識で変化ができる範囲が大きいものです。生命を維持するためにどうしても行なっていなければいけないことが幾つかあります。呼吸、脈拍とかがそうでしょうか?水とか食物を補給するということも大切ですが、数日しなくても大丈夫です。でも、呼吸は数分で生命が危険です。と同時に意識でかなり変化ができます。一瞬止めたり、ゆっくり吐いたり、早く吸ったり。脈拍は、そうはいきません。早くするには運動などしないと行けませんし、急にゆっくりすることも出来ません。まして止めることはできません。しかし、呼吸をまったく忘れていても、呼吸はしています。眠っていても、映画を見ていて興奮していても、呼吸はおきています。

だから、呼吸にココロを込めたり、呼吸を変えたりすると、カラダが緩んだり、感情が変わったりします。呼吸が、深層心理と覚醒意識との橋渡しでもあります。

ある種の呼吸をして、呼吸に集中していくと、瞑想に入り易くなるというのもその理由からです。感情を変えるときや、落ち着けたい時にも呼吸法が有効な方法になります。

では、どういう呼吸方法がベストでしょうか?呼吸法のワークショップでは、必ず聞かれる質問の一つです。答えは、「それは、ありません」です。ガッカリする人もいます。それを習得しにきたのに。

その時、その時に適した呼吸を、自由に楽にできるというのが理想です。いつもいつも静かでゆっくりした丹田呼吸では、生き生きしていません。楽しい時には楽しい呼吸を、悲しい時には悲しい呼吸、うんと美味しいときには、そのような呼吸を、緊張しているときには落ち着くような呼吸を、でも落ち着きすぎるものどうかと思いませんか?ぐっすり眠るときには、そういう呼吸を。様々な呼吸方法を自由自在に、自分の個性をもって、楽に出来ることが呼吸法の目的です。ある種の瞑想を始めるためには、ある種の呼吸が効果的だということはあります。でもだからといって、行きている間、ずうっとその呼吸法を続けるのでは、色合いが無さ過ぎませんか?

だから、いろんな呼吸法の訓練があるのだと思います。ピアニストが、ある音とリズムだけを完璧にマスターしても、それは音楽にはなりません。より生きるための呼吸法は、いろんな音とリズムを練習して、その場に適切な音楽が自然にでてくるようになるための訓練みたいなものかと考えます。

このことを、認識して、時々、再確認することはとても大切です。ついつい、特に真面目な方は、これこそが良い呼吸法だと思ってしまって、極めて行く傾向があるからです。全体の大きな目的、理由を常に忘れないようにしたいものです。

大笑いや大泣きも、息が瞬間止まるほどの感動なども、素晴らしい呼吸です。ゆっくり落ちついた丹田呼吸もすばらしいけれど。できたら、とらわれずに、自由に呼吸を楽しみたいですねえ。

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