パリ、ニューヨーク、東京。

パリ、ニューヨーク、東京。なんかこう書くと、ファッションのブランドみたいだ。

この数年間の僕のホームベースは、この3つの都市が中心になっている。

ニューヨークは、まあ、僕の故郷みたいなところ。人生の大人の時間を殆ど過ごした街。

東京は、日本での大学、仕事、そして今は、拠点。この2つは自分で選んだ場所だ。

パリというと、実は僕自身はそんなに好きなわけでもなくフランス語ができるわけでもなく、なんとなくの縁でこうなった感じ。でもヨーロッパの拠点を見つけたいと思っていた僕には、パリは妥当のようだ。しかも、なにか不思議な縁があるようだ。いろんな所で友人になる人がパリと関係がある人が多い。

この2ヶ月、いろいろな所でTaoZenのワークショップをさせてもらって、いろいろ考えることが沢山あった。

感じること、考えることが沢山あって、しかも多岐に渡っての内容なので、自分で消化しきれないところもあるし、忘れてしまったような気にもなってしまう。

体験や実感というものは、不思議で、その時には大変な感覚だけれど、場所を変えたり、別のことをしたりしてしまうと、頭にははっきりと認識できないところがある。それでも、体の奥や潜在意識には必ず残っているものだろうと信じているけれど。

この3つの都市に身を置いて感じたことも沢山あった。

まず、ニューヨーク。大変に厳しい街だ。こんな生きるのに厳しい街に、どうやって僕みたいなのが、一人でサバイブ出来たのだろうか?

ニューヨークは今でも僕は大好きだ。

でもあまりに厳しい。なにをするにも闘いだ。タクシーを拾うにも、レストランでオーダーするにも、スーパーで買うにも。仕事では勿論そうだった。

そういう中で、出会いや別れが沢山あったり、騙されたり、仕事も上手くいったりいかなかったり、どうやって生きてきたんだろうと思う。

お金もコネも無しで始めたニューヨーク暮らし。最初は、まあ必死だったけど、ちょっと落ちつてからが大変だった。

今は、ニューヨークに住むこと自体には興味がない。ニューヨークが持つ特有なエネルギーとオープンさと数人の友人以外は、懐かしい感じはしない。

ニューヨークを離れた多くの友人が同じようなことを言って、年に2度ほど訪れる。僕自身もそうなっている。まだ、アパートもあり、オフィースもストアもあり、愛犬も、家族のような親友もいるので年に2度は行く必要もある。

歩くスピードはニューヨークが一番早い。パリと東京が同じくらい、多少パリのほうが遅いかな。

人の声の大きさは、ダントツにニューヨークだ。叫んでいるのは何故だろう?だから僕の耳は悪くなったんじゃないか?東京に戻ってきて、静なのに驚いたことを覚えている。

人なつこさもニューヨークだ。なんでも気兼ねなく隣の人に話しかける。それが綺麗な女性だろうが、黒人だろうが、ゲイだろうが、気にしない。パリや東京では、そうはいかない。パリでは、男が女に声をかけるということは、すぐになにか別のことを意味するようだ。日本では失礼のようだ。

お洒落は、ニューヨークが一番ユニーク。どんな格好でもOK。地下鉄に乗って人を見たり、街で人をみるのが趣味の僕だけれど、ニューヨークのファッションには驚くことがある。こんな組み合わせで良いの?そんなに肌だしても良いの?こんなに汚くても良いの?

パリは、女性は平均的になかなか素敵だ。ちょっとしたスカーフの使い方や帽子のかぶり方などは、真似できないものがある。女性が女性らしさを強調している。パリの男は、僕にはそんなにお洒落には見えない。ロンドンやミラノには、全く及ばない。パリは比較的平均化されている感じがする。東京は、まあ、僕が表参道付近にいるせいかもしれないけれど、若い男の子を女の子のお洒落だけが目立つ。

パリも東京もニコニコしている人は殆どいない。知らない人と眼を合わせてもパリは、そのまま見つめる。東京では眼が会わない。ニューヨークでは、知らない人と良く眼があう。大抵ニッコリする。かなりハードなヒップホップのゴッツイ黒人でもそうだ。眼で挨拶をするのがニューヨークだ。

荷物を持っているとニューヨーカーは、とにかく手伝いたがる。パリでは綺麗な女性にだけ手を貸す。東京では、邪魔そうな顔をされる。

こうやってみるとニューヨークが一番、過ごしやすそうだけど、実は一番、暮らすのに厳しい。

よく聞かれる。「どこが一番好きですか?」

僕は、結構どこでも好きだ。住みたくないところは幾つかあるけれど、結構、どこでも好きだ。

東京も大好きだ。でも、なにかとても心配になってくるところがある。これについては、また別の時に。

 

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