2011.03.07

英国王のスピーチ。”The King’s Speech”

なんとか時間を見つけて、「英国王のスピーチ」を観た。

映画が大好きなのになかなか足を向けなくなっている。NYに居る時には、二週間に一回は映画に行っていたのに。

一つには、普通の生活の中で、映画が話題にならないということもあるかもしれない。NYでは大人の話題で、映画やアートはとても大切な要素だ。あとの理由は、ガッカリする映画が多いからだ。ハリウッドの映画は、どうも僕には肌が合わないのか、大体話題の映画はほとんどガッカリだ。

映画をエンターテイメントとして、観ている時だけ、楽しかったり、興奮したら満足というように僕が考えていないからかもしれない。大げさに言うと、映画で人生が変わったという経験があるからだろうか、僕は、見た映画が何年も心に残るものが好きだ。あとでなにやら考えさせられるような映画が好きだ。涙を流しやすく、感動しやすい体質なので、観ている時には泣いたり、笑ったり、感動したりするのだけれど、どうもそれだけだと、騙されたって感じになってしまう。

さて、今回の「King’s Speech」は、アカデミー賞をもらった作品ということで、却ってあんまり期待していなかった。でも期待はずれに、かなり良かった。

まず、映画が始まって10分くらいで、カメラマンの素晴らしさに感激。妙な小技を使わずに、でも確実に引き込んでいく力があるし、構図に美学を感じた。僕自身、コマーシャルフィルムをプロヂュースしただけでなく、自分でドキュメンタリーの監督やカメラも回したので、カメラワークにとても興味がある。

演技も、素晴らしい。コリン・ファースも、ジェフリー・ラッシュも、変な目立つ策を行わずにじっくりと、一見地味で実直な演技が好きだ。これは文学座の演出部だったことや、アクターズスタジオでのトレーニングのせいかもしれない。演技は格好つけない地味で、実直が素晴らしい。

内容も大人っぽい、しかも男っぱいところが好きだ。分かりすぎたり、説明しすぎたり、そういう内容はどうも好きになれない。こういう実際にあった内容を扱ったわりには、冷静な印象を受けた。それにしてもこういう内容を日本では映画にできないなあ。大正天皇とかの映画が作れないだろうなあ。

音楽にも驚いた。僕はベートーベンが好きじゃないと思っていたけれど、こんな風にベートーベンが使われると好きになってしまうかもしれない。

久しぶりに満足した感じの映画だった。

けれど、エンディングが残念だ。結局、吃りの王様とスピーチの先生との友情と、吃りとプレッシャーを克服した王様の話と家族愛みたいな暖かい感じで終わってしまった。でも、肝心なのは、この時に世界第二次対戦を始める大切な演説であり、これによって多くのイギリス人が反ナチスとして戦う勇気が盛り上がったこと。そして多くの犠牲のもとに新しい世界が出来上がったいくと言う事だと思う。ジョージ6世の彼自身のコンプレックスを克服したということではなく、きっとそれ以上の大きなものに対しての挑戦だったということではないのだろうか。そういう示唆のあるエンディングで有って欲しかったなあ。

数日してから、なんか後味が悪かった。小さな愛とか自己の問題になって結論が終えてしまったおうに思えた事が。最近の映画は、大作になるとなるほど、こういう小さな終わり方で集結してしまう傾向があるのは何故?

最後のシーンが、第二次世界大戦の白黒のニュースクリップとか、あるは、すくなくても素晴らしい演技を見せていたコリン・ファースの複雑な決意と未来への不安の顔をアップにするとかにして欲しかったなあ。

「カサブランカ」の最後のシーンのハンフリー・ボガードでも、「卒業」の最後のシーンのダスティン・ホフマンとキャサリン・ロスなんかは、ちょっと納得いかない複雑な表情で終わっているけれど、あれがずうっと印象に残っている。

僕の中で名画になりそうだったけど、エンディングが、ガッカリ。残念だった。勿体ないなあと、僕は思った。

Post to Twitter

| Posted at 21:07 | 未分類 | この記事のURL | コメント(7)


 

今週の水曜日、私の街の映画館ではLady’s Day で、1000円で観ることができる日でしたので、早速みてきましたよ。

心の深い所で微笑みつつ泣きながら観ていました。

私は不思議の国のアリスにも赤の女王で出ていたヘレナ・ボナム・カーターが大好きです。

そして 日本ではそんなにメジャーではないけれど、主演を演じたコリン・ファースの「これでもかっ!」の演技力にひれ伏したくなりました(笑

どもりを治療するジェフリー・ラッシュもPirates of the Caribbean以来でしたが、しみじみといい役者さんだな、と感動しました。

ほんとうに見ごたえのある、お金を払った価値のある映画だと。

そしてさすがにアカデミー賞作品賞を受賞するだけの価値のある作品だと感じました。

ちなみに、当日はLady’s Dayだったせいか、女性のお一人様の多いこと多いこと(笑

ちなみにわたしもお一人様でしたけど・・・(T-T*)フフフ…

posted by:雫 at 2011.03.0722:23

芸術は、五感、六感で味わう物だと思います。はっきりいって、ハリウッド系は勧善懲悪、単純過ぎて、あまり好きではありませんが、たまにはグッと来る映画もありますよネ いいシネマは人生を豊かにし、魂の垢を落としてくれるような氣がします!

posted by:さくら at 2011.03.0800:00

大賛成です。例えば、どんな映画が好きですか?

posted by:masahiro at 2011.03.0800:19

確かにコリン・ファースとジェフリー・ラッシュの演技はすばらしかったですね。コリンさんは名門に生まれたことの負の部分をよく演じているなあと思いました。ジェフリーさんの演技もとてもよくて、まるで魅力的な人にさっき会ってきたあとのような後味が、いつまでも残りました。

映画の色調というか、あのなんとも言えない色づかいもすばらしいと思いました。

と同時に見終わった後なんだか消化不良だったのも事実です。それがなぜだったのかはそのとき分からなかったのですが、大内さんのブログを読んで確かにラストがもうひとつだったかも、と思いました。

とくにいきなりなぜかラストで友情が前面に出てきてしまうところがちょっと。大事な場面だけれど、そんなことでもりあがったりはしないんじゃないかと。というのも、2人の関係はもっと淡々としたそして、深いものなので、そんなとってつけたようなことにはならないんじゃないかと思えたのです。

ジョージ6世にはまだこれから大きな任務が待っていて、それを友人として見守るのなら、スピーチがたとえ成功したとしても、もっと冷静なんじゃないかなあと思いました。うまくいったからといって、そこで笑顔というか、「スピーチがうまくいった、万歳。」ということにはならないんじゃないかと。それはその後の歴史の本当に最初の部分に過ぎないのだから。

というわけで、大内さんのブログを読んで、先日みた映画をまた考え直すきっかけになりました。映画を見終わったあと、感想を話すのは楽しく、みているアングルの違いは興味深いですね。

posted by:けい at 2011.03.0801:34

タルコフスキーのノスタルジア、ラスト タイクーン/監督名忘れてた…コクトーの恐るべき子供達等…高崎映画祭も三月下旬からスタートしますョホームページご覧になってくださいませ!映画は監督の言語だと思います、あの引き込まれる感じがなんともたまりません

posted by:さくら at 2011.03.0802:27

ハリウッドの住んでいるのに大作は見てませんね。。この映画も見たいと思います。ワイフとも話していたのですが吃りだけじゃないよね!といったのはども的を得ていたようですね!
ぼくはもう何年も前からベートベンの第九を歌ってますが毎回ベートベンの素晴らしさに鳥肌が立ちます。天才だと思います。

posted by:なお at 2011.03.0803:07

言われてみると記憶に残る映画ってそうはないですね。
「ショーシャンクの空に」ハリウッドもの?かもだけど原作がスティーヴン・キングなのでしっかりしていた気が。
フェリー二の「道」「81/2」
ミュージカルだと「略奪された7人の花嫁」「ハロー・ドーリー」
「天井桟敷の人々」「オルランド」
記憶に残らなかった映画No.1として記憶に残っているのはスタローンの「クリフ・ハンガー」
小さい子の居るママはゼッタイ見てはいけない恐ろしいスペイン映画「永遠の子どもたち」素晴らしい、いい映画だと言えるけどその後2週間くらい立ち直れなかったです。

posted by:ビビ at 2011.03.0815:07

コメントを投稿




RECENT ENTRIES

ARCHIVES