NYで日本の名画鑑賞。「羅生門」「雨月物語」と「西鶴一代女」

NYと東京の違いはいろいろあるけれど、例えば歩く早さ。NYの人のほうが早い。ドアの重さ。地下鉄の音の大きさ。などなど。

映画やアートが大人の生活の中にしみ込んでいることもそうだ。普通の会話の中に映画やアートの話が良く出てくる。ニューヨーカーは、良く映画にいく感じがする。僕も東京にいる時よりもNYにいる時のほうが気軽に映画に行く。それにハリウッドがあんまり好きじゃない僕が行けるような映画館が幾つもあるのが嬉しい。

ダウンタウンにあるフィルム・フォーラムという映画館もそのひとつだ。

今月は日本の5人の名女優というシリーズをやっている。田中絹代、山田五十鈴、京マチ子、原節子、高峰秀子の5人。不思議なもので小津安二郎や、溝口健一、成瀬巳喜男、黒沢明などの日本が誇る映画監督の作品はNYに来てから見るようになった。そのなかでもOzuとKurosawaは、NYの映画好きには欠かせない監督になっている。僕もこっちで何度もOzuの映画を観て、大好きな監督になった。

遠回りで良いものを探し当てることって、結構あると思う。僕がインドを探し当てたのも、ビートルズやピンクパンサーを通してだった。

昨日、午後に時間をつくって「羅生門」と「雨月物語」と観た。昔のように二本立てだった。だからきっと今でもgoing to see moviesと複数形をつかうのだと思う。羅生門は昔みたけど、結構細かいことは覚えていなかった。黒沢らしいドラマと形式美。雨月物語は始めて観た。なかなか凄い。このシリーズで「西鶴一代女」も観たけれど、これは女性を撮った映画としては素晴らしいの一言だ。50年代、60年代には日本では、こんなに素晴らしい映画を作ってきていたのになあ。イタリアもやはり、素晴らしい映画を作っていたのに、今は両方の国の映画に元気がないのは、寂しい。日本は、もっともっと実力があるのに。

僕は大学の4年に時に、映画を作りたいと思って、東宝を受けた。同時に文学座の演出部も受けた。どっちも受かって、両方に通っていたことがあった。今考えると、映画を作りたくって、どうして東宝現代劇と文学座なんだと思うけど、当時はそういうくらいの想像力だったわけだ。

なかなか好きな映画に出会わないけれど、こんどMy Favoritesのリストを作ってみようかな。小津の「東京物語」は、そのなかでもトップの一つだ。5回くらいみたけど、何度観ても良い。

地震以外の話も久しぶりな感じだなあ。この巨大地震の後になって、僕は、でも確実に日本が好きになっているのは確かだ。

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