深川江戸資料館。数時間だったけど、下町情緒を満喫。

毎日暑い!こんなに東京の夏は暑かったっけ?夏は、なぜか下町が似合う。

先日、時間を見つけて深川江戸博物館に行ってみた。最近、東京にいると忙しくてスケジュールも無く、ブラブラしたりすることが少なくなっている。一週間に数時間でもいいから、プランもなく気ままにしたいことをしたり、街にでたり、思いつきでなにかをするとか、そういう時間が必要だと思う。でも、こういうことってついつい忘れてしまう。

しばらく前の瞑想のクラスに始めて来てくれた横山さんと言う方が、深川江戸資料館に勤めているという。深川の江戸時代の生活の様子を復元したものがあって、実際に長屋に入ったり船着き場まであるという話になった。そしたら、一緒に出席してくれていた方が、実は祖父の時代まで、深川付近で船宿をやっていたんです。

そして、僕は、江戸時代の話の落語をいくつか聞いたばかりだった。そのなかの一つの話が船宿の話だった。落語の古典は、落ちが楽しいというよりは、聞いていて状況が妙にビビッドに浮かびあがって自分がその場面にいる感じになるところが。そにかくなんか偶然ではないのでは、と盛り上がって、近々この資料館に行ってみよう、そして深川丼もトライしてみよう、と言うことになった。

ということで、順子さんと一緒に仕事を数時間さぼって、深川丼をたべて、江戸資料館を見に行った。幸い表参道からは、地下鉄で一本、清川白河という駅で下車。

片山のオヤジさんとオカミさん。

この日も30度はゆうに超す暑さ。まずはランチだ。深川丼は、どこで食べようか?資料館の近くに何軒か、深川丼を食べさせてくれる食堂がある。でも、いかにも観光客向けという店構え。そこで玩具やというか、お土産屋とうか、ラムネや、江戸の玩具やらを打っているオヤジさんに尋ねてみたら、「そりゃ、断然、片山という天ぷらやだなあ。」隣には、結構雰囲気のいい食堂があるのに。でもきっと理由があるに違いないと天ぷら屋にドンブリを食べに行った。なかなか見つからなかったし、直ぐそこと言う割には、ちょっと遠かった。特にこの暑さと湿度の中では。

カウンターに4人、小さな座敷に6人も座るといっぱいになるような小さな天ぷら屋さん。オヤジさんと奥さんが二人でやっているいい感じの店。ちょっと話かけても良いのかなあと思わせるオヤジさん。話し始めると、なかなか饒舌。根っからの祭り好きで、祭りの話になったら止まらない。「江戸の三大祭りって、知ってるかい?」僕は、真っ先に「浅草の祭りに、、」「違うねえ、、、、」すっかり、僕の無知が、このオヤジさんを喜ばせちゃった風。

でも、いろいろ勉強になりました。この辺は江戸時代の埋め立て地で、津波になったら駄目だなあ、みたいなことから、祭りの運営の仕組みから、、、勿論、深川丼の由来まで。

「漁師が、アサリのみそ汁をご飯にかけて喰ったのが、深川丼。でも、それじゃあネコ飯だろ。アサリを一緒に炊き込んだのが深川飯。うちは、もっと工夫して、あさりあんかけご飯。ここでしか食べられないんだよ。」

これが旨い。「家でもやってみようかしら」と順子さん。すかさず「いやあ、姉さん、これはちょっとやそんじょじゃ家庭では出来ないもんですよ。なにしろアサリがどっさり1キロも入って作るから旨いでっすよ。」

テレビでも取り上げられたアサリあんかけ丼

こうなると、「なるほどねえ、だからダシが良いんだなあ」みたいな返ししか出てこない。おかみさんも、なかなかのキャラ。この小さな店に沢山の芸能人が来ているようで。その話で盛り上がっていた。

深川江戸資料館は、なかなか好感を持てる。まずサイズが良い。蔵前にある江戸博物館は、でっかすぎるのと江戸の庶民の生活を感じさせないなにかがある。どうも石原慎太郎の匂いがしてしまうのかなあ?こんなに税金を無駄使いをしてええって、感じたのを覚えている。この資料館にはそれがない。なんか本当に江戸時代の深川に来た感じがする。

七夕の飾り付けも。こんなに大きなものだったらしい。

へえ、長屋ってこんなに小さかったのか?押し入れもない!とか。どの家にも実際に入る事もできる。季節感のある野菜や、虫なども置いてある。屋根にはネコの模型が泣いていたり、夕方の照明になって、夕立があったり。ここでは、一人で来ていた男性をいろいろ話込んでしまった。この辺で生まれ育ったらしいし、この資料館には約十年ぶりだとか。いろんな会社の社長で、今日は血液定期検査で近くに来たので寄ってみた。世界中を駆け回る忙しい方らしいけど、なんか舟場のところで、ゆっくり話こんでしまった。夕立が2回も来るくらいの長話だった。見知らぬ人と、なんかゆっくり話ができたのも、三人とも江戸のバイブに酔っていたからだろう。この社長が道楽でもっている北海道の馬の牧場に行ってみようかなあなんて、またしても暢気なことを僕は真剣に考えていた。

米屋の旦那になったつもり。

資料館の迎えにあるお土産屋さんに、「天ぷら屋のあさりあんかけご飯、旨かったですよ」とお礼を言いに寄って。僕は竹とんぼと、竹と紐で出来ている江戸の知恵の輪を買った。

お土産屋さんの愉快なオヤジさん。

江戸の下町って、金持ちも貧乏人も、それなりに楽しく生きていたんじゃないだろうかと、いろいろ想いを馳せた午後だった。天ぷら屋も、資料館であった社長さんも、お土産屋さんも、実は江戸時代の人が現代の格好をして出没したんじゃないだろうかとさえ、思った。酷い暑さもなにか似合う午後だった。昼から3時間くらいだったけど、タイムマシーンの小旅行をした感じだった。

スタジオに戻らなければいけなかったので時間がなくって、帰りに門前仲町まで歩いて甘いモノを頂けなかったのだけが残念だった。

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