親友のダニー。プエルトリコの国民的なシンガーがカーネギーホールで歌う。

親友って何だろう。単に友達というのではない、確実にもっと深い絆があって、しかも、ある程度長年、お互いの歴史をシェアしている友人だと思う。そして、どんなことがあっても死ぬまで続くだろうと信じられる関係だと思う。

生きている間に、何人の親友を作るのかは、個人によって違ってくるのだと思う。沢山いるから良いというのでもないし、沢山いるなんてあり得ないというものでもないと思う。

僕は、友人に恵まれていると思う。世界中にいるし、いろんな人がいる。年齢も人種も、職業も。そして親友と言える友人にも恵まれている。もちろん、友人にガッカリさせられたり、きっとさせたり、あるいは、友達という様相で騙されたりした(騙したことはないと信じている)こともいっぱいある。でも、そういうものだと思う。人を好きになるとか、愛するとか、信じるというのは、いつでもある程度危険をおかしている行動だと思う。

プエルトリコ出身のダニー・リベラ(Danny Rivera)という国民的な歌手がいる。僕らはもう30年ほど親友だ。僕よりも10歳くらい年上だ。彼は10代からスターで、今でも大変な人気だ。プエルトリコの北島三郎ってかんじかなあ。ちょうど紅白歌合戦みたいなものがあったりするんだけど、僕が見に行ったときにはダニーがトリだった。子供から、おばあちゃんまでが、ダニーの声で涙を流す。

彼とのエピソードはいっぱいある。一緒にパナマに行ったり、キューバに行ったり、ドキュメンタリーフィルムを作ったりも、ハイチの救済もしたりした。素敵なエピソードがいっぱいある、これからもあるんだと思う。

彼は、10年ごとにカーネーギーホールでコンサートをしている。今回が4回目になる。僕は2回目と3回目を見ている。前回は、数々のラテンのシンガーがゲストで出演した。ポール・サイモンや、マーク・アンソニーなどもゲストだった。この時のCDは、とても素晴らしい出来上がりだ。

今回は、ラテン・ジャズピアニストの大御所のミッシャル・カミーロと一緒に演奏する。それにメキシコや、キューバからもゲストが参加する。残念ながら、僕はその日は、東京に移動なので今回は本番には行く事ができない。ラテン的で、連絡がギリギリだ。まあ、時間感覚は、僕もほとんどラテンだから、そういうこともあってラテンの友人が多いのかなあ。

早速、リハーサルを見に行った。ジャズのレコーディングでは有名なmichiko studioでやっていた。

ミッシェル・カミーロとダニーが、本当に楽しそうにリハーサルをしていた。腹が減ってきたから、そろそろホテルに帰るぞというダニーが、それでも乗ってきてしまって、ランチの入っているプラスチックバッグを片手にずうっと歌っていたのも可笑しかった。

キューバに行ったときにダニーと一緒に見つけたチェケレという楽器の名人のドン・パンチョや、トレスギターでグラミー賞も貰っているネルソン・ゴンザレスも来ていた。

こんな素晴らしい演奏を、たった4人くらいの観客で聞けるのは、勿体ない感じだった。でも、遠慮しながら拍手をした。

引っ越しと仕事で、かなりキツくなっていた心が一挙に幸せになった。こうやって音楽を楽しくできるのは幸せだよなあって思う。単に売ろうとか、お客を楽しませようとか、そういうことよりも、シンプルな音楽への愛がある。

僕は楽器はなにも出来ないけれど、音楽は大好きだ。親友というのは、もっと有難い。

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