チャーリー・チャップリンの孫、ジェイムス・ティエレのパフォーマンス

チャーリー・チャップリンの孫、ジェイムス・ティエレのパフォーマンス

BAM(ブルックリン・アカデミー・オブ・ミュージック)で行われるNext Wave には毎年のように何かを見に行って25年もなる。

ここから、沢山の僕の大好きなアーティストが世に出た。フィリップ・グラス、ピーター・ブルック、ローリー・アンダーソン、スチーブ・ライヒ、ピナ・バウシュ、トゥワイラ・サープ、などなど、限りない数の僕が尊敬する現代アーティストがここで花を咲かせた。それは、80年代と90年代だった。

その後も、毎年行っているものの、以前のように身体が震えるような、心が震えるようなものには、このフェスティバルでは出会わなくなってしまった。企画のリーダーだったハービー・リヒテンシュタインが亡くなってからからなのか、前衛的な音楽や芝居やダンスに力がなくなったのかは、あるいは時代的なことなのか、あるいは僕の問題なのかは、その理由は良くわからない。

折角、この時期にNYに居るのだから、今年もあんまり期待しないで、でも出かけてみた。

James Thierree のRaoul  という題目が新聞で眼についたのだった。ジェームスは、チャップリンの孫,  ユージン・オニールのひ孫にあたるそうだ。

それだけでも興味を惹いた。久しぶりに身が震えるようなものを感じるセアターだった。シアターというべきなのか、ダンスとマイムとサーカスとシアターが混じったようなものだった。ほとんど彼の独り舞台で、80分。

ラウルという一人の世界に閉じこもった男の内部を、ある時には幻想的に、ある時には皮肉たっぷりに、ある時にはアクロバティックに

ユーモアとペーソスを一杯に表現していく。時々、なぜかふと泣きたくなるようなシーンもあるし、理由も分からずに笑っている自分をみつけることもある。

意味のある言葉は使わずに、身体を言語として表現している。舞台装置もシンプルだけど、ダイナミックで、想像力を刺激してくれる。

僕は映画でもダンスでも芝居でも、どちらかというとちょっと飽きそうなところがあって、でも知らないうちに、自分の中の潜在意識を刺激されるようなものが好きだ。分かりやすく説明しすぎていたり、妙に感動を呼び込もうとしているものは、肌に会わない。

今回のジェームスの作品は、僕の潜在意識を充分に刺激してくれた。しかも、とても自然に。

こういう出会いがあると、また劇場やコンサートにもギャラリーにも行きたくなってくる。ジェームス君、有り難う。

このyoutubeで雰囲気はつかんでいただけるかもしれないなあ。http://www.youtube.com/watch?v=Jg_ePUyhqzg

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