インタビュー記事(その2)

もしかして、暇であるいは、もの好きで、続きを読みたいという人のために、続きです。

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・文章を書くということに関しては、以前から何かやっていたのです
か?

大内
夢日記はつけていました。見た夢をメモする習慣をつけると、そのう
ち「今日の夢にはメッセージがあるな」とか「これは誰か他の人の夢
が移ってきたんだな」とかがわかってくる。Dream Practiceという、
「行」の一種なんです。睡眠とは、ただ疲れを癒すだけでなくて非常
にアクティブだと認識するところから始まります。そうすると眠りが
変わる。それ以外にも、朝、瞑想の前後になるべく何かを書くように
しています。

・それも日記のようなものですか?

大内
日記とは違います。とにかく体の中から湧き出てくるものを、紙一枚
分いっぱいに埋めるのです。文章でなくてもいい。構成もなにも考え
ない。私の場合は日本語と英語、時にはイラストが入っていたりする。
とにかく埋めていく。無意識をメモするような感覚です。すると、同
じことを繰り返していることに気づいたりする。「ああ、自分はこう
いうことがやりたいのか」と新しい発見がある。

・フランスの詩人アンドレ・ブルトンの「自動記述(オートマティス
ム)」という手法を思い出しました。

大内
詩はすばらしいですね。先ほどのティック・ナット・ハンも、基本的
には詩人です。

・好きな詩人はいますか?

大内
日本人では谷川俊太郎さんですね。外国ではルーミー。スーフィズム
(イスラム神秘主義)の詩人で、彼も簡単な言葉で胸に響くような作
品を残している(『井筒俊彦著作集11 ルーミー語録』中央公論社な
ど)。

・やはりそういう本を書いてみたいと。

大内
はい。いつかはですが、ぜひ挑戦してみたい。本だけでなく、タオゼ
ンのワークショップ(http://www.taozen.jp/)でもその方向を目指
しています。むずかしい言葉でなく、リラックスして楽しい、そして
ワークショップを受けた2、3日後にジーンと来るような。

・それで気づいたのですが、今回の本『TaoZen 瞑想エクササイズ』
では最初に心の問題を取り上げていますね。ヨガの教則本だと思って
読み始めたので驚いたのですが、これまでのお話で、なんとなく大内
さんの目指しているものがわかってきました。最後に、大内さんの今
後の目標についてお聞かせください。

大内
実は今、とても焦っているのです。

・焦っている? それはどうしてですか?

大内
私がワークショップや本で目指しているのは、タオやゼンといった東
洋の知恵を現代に生かすことです。それはこれからの日本人にとって
とても大切なことだと思うからです。ところが今、ものすごい勢いで
それが失われている。お金とモノ、あるいは「競争者に勝つ」、これ
が人生の目標だという風潮が世間を覆っている。健康ひとつをとって
も、身体だけのことを考えることが多いようです。このままでは、た
いへんなことになると思うのですね。やはり心や哲学が必要なのです。
昔の人の知恵や詩によって、心を洗う経験が必要なのです。身体は、
むしろ心とスピリチャリティの反映なので、トータルに実行しなけれ
ばいけない。だから焦っている。早く手当てをしなければ手遅れにな
るんじゃないかと。

・間に合いそうですか?

大内
大丈夫でしょう。多くの人が気づき始めていると感じます。
今回の出版をきっかけにブログを立ち上げたんです(http://taozen.
blog.drecom.jp/)。そこにはいろいろな人からの質問が来る。最初
はエクササイズに関する質問が来るのだろうなと予想していたのです
が、精神的なことがほとんどでした。やはり多くの人が、何かを感じ
ているんですね。そういう人たちのためにも、アイデアをどんどん形
にしていきたいと思っています。

・具体的には?

大内
先ほどの「夢の行」もそうです。また「100まで元気に、楽しく、有意
義に生きる」というプラクティスも考えています。「100」というのは
100歳という意味でなく、満杯になるまでという意味です。そして「有
意義に」というところが大切。焦ってはいますが、ひとつずつ、少し
ずつ進んでいきたいですね。

・本日は貴重なお話ありがとうございました。最後にひとつ注文させて
ください。今回の本は女性向けでしたが、男性向けの本も出していただ
きたい。ヨガ教室は女性ばかりですからね。男だってジーンとしたいの
です。

大内
わかりました。でも、私のワークショップは、3割以上が男性なんです
よ。ニューヨークでは、男性だけのワークショップも開催したくらいで
す。ぜひ、参加してください。本のほうもぜひ考えていきたいですね。

・どうもありがとうございました。

※7月には大内さんがご帰国されて、ワークショップを開催されます。
 詳しくはこちらから。
 http://www.taozen.jp/

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